循環器用 X 透視診断装置については基準透視線量率を測定して DRL との比較も行う。

こんにちは、株式会社Eight Aidのカワジリです。

2020年も残りわずかとなってまいりました。

今年度は医療法施行規則の一部改正で、医療放射線に係る安全管理体制が見直されました。

放射線科の皆さんは指針を策定したり、患者の被ばく線量の記録・管理の方法に悩まされたり、コロナ対応で忙しい中で、四苦八苦されていることと思います。

そろそろ医療監査の対策も…



今年は新型コロナウィルスが猛威を振るっているため、医療監査が書類提出のみになったり、延期になったりしています。

『医療放射線の適正管理に関する医療機関ならびに地方医療行政機関の対応ガイド』の医療被ばくの線量管理(p18)を確認すると、循環器用 X 線透視診断装置については基準透視線量率を測定して DRL との比較も行う。と書かれています。



日本放射線公衆安全学会から『医療放射線の適正管理に関する医療機関ならびに地方医療行政機関の対応ガイド』という医療監査のチェックポイントを提示している文書が公開されています。
チェックポイントは重要度別に分けられていて、とてもわかりやすく書かれていますが、少しボリュームが多いので、本記事ではIVRに関して的を絞って解説しようと思います。



また、弊社の【患者照射基準点測定代行サービス】の必要性について説明できればと考えています。


2020年4月に医療法施行規則の一部改正があったのは皆さんご存知の通りだと思います。

新規則で医療被ばくの線量管理について記されているところを抜粋して解説します。


【改正通知】 新規則第1条の 11 第2項第3号の2ハに規定する放射線診療を受ける者の当該放射線によ る被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用を目的とした改善のための 方策として、医療放射線安全管理責任者は次に掲げる事項を行うこと。
(1) 線量管理について
ア 次に掲げる放射線診療に用いる医療機器等(以下「管理・記録対象医療機器等」という。)については放射線診療を受ける者の医療被ばくの線量が他の放射線診療と比較して多いことに鑑み、管理・記録対象医療機器等を用いた診療に当たっては、被ばく線量を適正に管理すること。


・ 移動型アナログ式循環器用X線透視診断装置
・ 据置型デジタル式循環器用X線透視診断装置
・ 据置型アナログ式循環器用X線透視診断装置
・ X線CT組合せ型循環器X線診断装置
・ 全身用X線CT診断装置
・ X線CT組合せ型ポジトロンCT装置
・ X線CT組合せ型SPECT装置
・ 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素
・ 診療用放射性同位元素


イ 放射線診療を受ける者の医療被ばくの線量管理とは、関係学会等の策定したガイドライン等を参考に、被ばく線量の評価及び被ばく線量の最適化を行うものであること。
ウ 放射線診療を受ける者の医療被ばくの線量管理の方法は、関係学会等の策定したガイドライン等の変更時、管理・記録対象医療機器等の新規導入時、買換え時、放射線診療の検査手順の変更時等に合わせて、必要に応じて見直すこと。

*改正通知より引用改変




上記のことを踏まえて、日本放射線公衆安全学会の『医療放射線の適正管理に関する医療機関ならびに地方医療行政機関の対応ガイド』の医療被ばくの線量管理(p18)を確認すると、循環器用 X 線透視診断装置については基準透視線量率を測定して DRL との比較も行う。と書かれています。


大事なことなのでもう一度言います。

循環器用 X 線透視診断装置については基準透視線量率を測定して DRL との比較も行う。


日本放射線公衆安全学会の調査結果に基づいて2019年の時点では
『(線量計を用いて)実測できるまでの間は、代替手法を用いて最適化状況を把握していることを確認することが望ましい。』
とされてきましたが、新規則が施行された現在では、装置の精度管理および適正な被ばく線量管理の一環として【患者照射基準点】における基準透視線量率を測定することが求められています。


さらに、『医療放射線の適正管理に関する医療機関ならびに地方医療行政機関の対応ガイド』の医療被ばくの線量管理(p18)を確認すると、
医療監査の指摘ポイントとして、優先順位が高い質問に、


Q.線量管理を行うと指針に定めたすべての医療機器等の医療被ばく線量について DRLとの比較を行っていますか?


というものがあります。

循環器用X線透視装置に関しては、
【患者照射基準点】の実測値がないとDRLとの比較ができませんので、必ず何らかの方法で測定を行う必要があるということになります。

補足
装置に表示される面積線量計の値(mGy・cm2)はあくまでも計算値であり、正確な値ではないことも理解しておく必要があります。
表示値の精度はJIS規格で誤差±35%までが許容範囲とされています。
各メーカーごとに校正方法も異なり、あまり信用できる値ではありませんので、自施設の装置における表示値と実測値にどのくらい誤差があるのか把握しておくことも被ばく線量管理では重要になってきます。



以上のことから、線量計を用いて【患者照射基準点】の基準透視線量率(mGy/min)を実測することの必要性を理解していただけたら幸いです。


本当です!

弊社の測定代行サービスのご利用をご検討よろしくお願い申し上げます。